真菰風呂(マコモ風呂)の入り方と作り方|生産者が乾燥真菰でのやり方・注意点を解説

真菰風呂(マコモ風呂)の入り方と作り方|生産者が乾燥真菰でのやり方・注意点を解説

乾燥真菰での楽しみ方と「お湯は毎日替える」理由

「マコモ風呂ってどうやって入るの?」
「SNSで見た、お湯を替えないお風呂って大丈夫?」


真菰を育てていると、こんな質問をいただくことが増えました。


この記事では、真菰を田んぼで育てている生産者の立場から、乾燥させた真菰の葉でつくる真菰風呂の入り方をまとめます。準備するもの、手順、追い焚きのときの注意点、そして話題の「お湯を替えない入り方」についての私たちの考えまで。はじめての方でも、今夜から試せる内容です。


真菰風呂(マコモ風呂)とは?2つのタイプがある

真菰はイネ科の水辺の植物です。古くから神事のしめ縄や、お盆の精霊棚のゴザなどに使われてきた、日本人にとって身近な植物でもあります。


その真菰をお風呂に入れて楽しむのが「真菰風呂(マコモ風呂、マコモ湯)」。ただ、ひとくちに真菰風呂と言っても、実は使う素材によって大きく2つのタイプがあります。


発酵マコモ製品と乾燥真菰の違い


発酵マコモ製品を使うタイプ 乾燥真菰(葉)を使うタイプ
素材 真菰を発酵させた粉末・液体の市販品 刈り取って干した真菰の葉
お湯の色 茶色〜黒っぽい色になりやすい 淡い黄緑〜薄い茶色
香り 製品による 青々とした草の香り
よく聞く入り方 「お湯を替えずに入り続ける」方法が紹介されることも 普通のお風呂と同じく、毎回お湯を替える


SNSで話題になった「何か月もお湯を替えないマコモ湯」は、主に左側の発酵マコモ製品を使った入り方です。


この記事で紹介するのは右側、田んぼで育てた真菰を干して、そのままお風呂に入れる昔ながらの楽しみ方です。農家としては、こちらのほうが「植物としての真菰」をいちばん素直に感じられると思っています。


用意するもの

  • 乾燥真菰(葉):1回分の目安は1パック
  • 布袋またはお茶パック・洗濯ネット:葉が散らばらないように入れます
  • 鍋(煮出す場合)
  • ふだんの浴槽とお湯



葉の長さは、袋に入るように5〜10cmほどにカットしておくと扱いやすくなります。一番水農園の入浴パックは、あらかじめ使いやすい長さにして袋詰めしています。



真菰風呂の入り方|5ステップ

  • STEP
    真菰を袋に入れる

    乾燥真菰を布袋や大きめのお茶パックに入れ、口をしっかり閉じます。袋に入れずに浴槽へ入れると、葉が排水口や追い焚きの吸い込み口に詰まる原因になります。

  • STEP
    お湯で煮出す(おすすめ)

    鍋に水を1〜2リットルほど入れ、袋ごと真菰を入れて火にかけます。沸騰したら弱火にして10分ほど。お湯がうっすら色づき、草の香りが立ってきたら火を止めます。

    ※01

  • STEP
    湯船に注ぐ

    お湯を張った浴槽に、煮出した液と袋ごとの真菰を入れて、軽くかき混ぜます。袋はそのまま湯船に浮かべておいて構いません。

  • STEP
    体を洗ってから入る

    真菰風呂に限らず、湯船に入る前に体を洗っておくのが基本です。お湯を清潔に保つことにもつながります。


    青々とした草の香りと、ほんのり色づいたお湯。田んぼの真菰を思い浮かべながら、ゆっくり過ごしてください。

  • STEP
    入浴後はお湯を抜き、袋を取り出す

    入浴が終わったら真菰の袋を取り出し、お湯は抜きます。浴槽は普段どおりに洗ってください。翌日入るときは、新しい真菰を使いましょう。


煮出さずに使う場合

湯船に直接入れることもできますが、乾燥した葉は色と香りが出るまで時間がかかります。先に煮出しておくと、お湯を張った直後から香りを楽しめます。

追い焚き・給湯器を使うときの注意

  • 真菰は必ず袋に入れる:細かい葉くずが循環口に入るのを防ぎます。
  • 追い焚きは袋を取り出してから:念のため、追い焚き中は袋を湯船から出しておくと安心です。
  • お使いの給湯器の取扱説明書を確認:入浴剤や植物素材の使用について注意書きがある機種もあります。
  • 浴槽や循環口は普段どおりお手入れを:色が残りやすい素材の浴槽は、使用後早めに洗い流してください。



「お湯を替えないマコモ風呂」について、生産者としての考え


ここは、真菰を育てている農家として、正直にお伝えしたいところです。


SNSで広まった「お湯を替えない」入り方


インターネットでは、マコモを入れたお湯は菌の働きで汚れにくく、何か月も、時には何年も替えなくてよい——という話が広まっています。2025年の初め頃にはSNSで大きな話題になり、1年以上お湯を替えていないという投稿も見られました。


公的機関からの衛生面の注意

一方で、お湯を長く替えないことについては、公的機関などから衛生面の注意が呼びかけられています。

  • 長野県薬剤師会は、お湯を換えないことで増える可能性がある細菌としてレジオネラ属菌を挙げ、20〜50℃で活発に増殖し、お風呂の40℃前後はこの菌にとって繁殖しやすい温度だと説明しています。(長野県薬剤師会「お風呂のお湯は換えましょう!」)
  • 愛知県も家庭向けの情報で、風呂水は入浴した人に由来する栄養分があり温度も増殖に適しているため注意が必要とし、追い焚き機能付きの風呂などは取扱説明書に従って定期的に洗浄するよう呼びかけています。(愛知県「家庭内におけるレジオネラ対策について」)


また、「マコモの力でお湯が腐らない」「レジオネラ菌が分解される」といった説明については、科学的なデータで裏付けられた情報は見つからなかった、とする調査記事もあります。


一番水農園の考え


私たちは真菰を毎年育てて、その植物としての魅力を誰よりも身近に感じているつもりです。だからこそ、真菰風呂は「お湯は毎回替える」普通のお風呂として楽しんでいただきたいと考えています。真菰の良さは、お湯を替えなくても十分に味わえます。



気軽に試すなら「真菰の足湯」

いきなり湯船で試すのはちょっと…という方には、足湯がおすすめです。

  1. バケツや足湯用の容器にお湯を張る(ふくらはぎの半分くらいまで)
  2. 煮出した真菰の液を加える
  3. 椅子に座って、足をつける
  4. ぬるくなってきたら差し湯をする

使い終わったお湯はその都度捨て、容器を洗ってください。少量の真菰で香りと色を確かめられるので、家族で試すのにもちょうどよい方法です


使い終わった真菰の片付け方

使い終わった真菰は、袋から出して水気を切り、地域のルールに沿って処分してください。


庭や畑がある方は、乾かしてから土に混ぜたり、堆肥に加えたりすることもできます。もともと田んぼで育った植物なので、土に還していただけるのは、作り手としてもうれしいことです。


よくある質問

毎日入っても大丈夫ですか

普通の入浴と同じように、お湯は毎回替え、真菰もその都度新しいものを使ってください。肌に合わないと感じたら使用をやめましょう。

肌が敏感なのですが使えますか?

植物素材なので、体質によっては合わないこともあります。心配な方は、まず足湯で少量から試してみてください。かゆみや赤みが出た場合は使用を中止してください。

小さな子どもと一緒に入れますか?

入れていただけますが、真菰の袋を口に入れたりしないよう、目を離さないようにしてください。お湯を飲まないよう声をかけてあげてください。

一度使った真菰をもう一度使えますか?

色や香りが出にくくなるうえ、濡れたまま置くと傷みやすいため、1回ごとに新しいものを使うことをおすすめします。

生の真菰(刈ったばかり)でもできますか

できますが、生の葉は傷みやすく、量の調整も難しいため、しっかり乾燥させたものの方が扱いやすいです。

真菰にはどんな効果がありますか?<

真菰は古くから神聖な植物として扱われてきたと言われていますが、入浴パックは医薬品や医薬部外品ではありません。体への効果をうたうものではなく、真菰の香りとお湯の色、季節の手しごとを楽しむためのものとしてお使いください。