ここ数年、そんな声を耳にすることが増えました。
この記事では、真菰蒸しとはどんなものか、よもぎ蒸しとの違い、受ける前に知っておきたい注意点をまとめました。効果をうたう情報が多い分野だからこそ、「わかっていること」と「言われていること」を分けてお伝えします。
真菰蒸し(まこも蒸し)とは、真菰の葉や根を煮出し、立ちのぼる蒸気を体に浴びる温浴法です。
やり方はよもぎ蒸しとほぼ同じ。全身を覆うマントを着て、座面に穴の開いた専用の椅子に座り、椅子の下に置いた鍋から上がる蒸気で下半身を中心に体を温めます。時間はサロンによって異なりますが、30〜60分ほどのメニューが多いようです。
よもぎ蒸しに比べると歴史は浅く、比較的新しい分野です。島根県・出雲で開発された真菰蒸しのメニューが各地のサロンに広がったことで、知られるようになったと言われています。
ポイント:真菰蒸しは、昔から伝わる民間療法というよりも、よもぎ蒸しの方法を真菰に置きかえた「新しい温活スタイル」と考えるとわかりやすいです。
真菰は、水辺に群生するイネ科マコモ属の多年草です。草丈は2メートル近くにもなり、日本各地の沼や川べりに自生しています。
古くから暮らしと神事の両方に使われてきた植物で、
など、用途はさまざまです。「神が宿る草」と呼ばれることもあり、真菰蒸しのサロンでもこうした背景が紹介されることが多いですね。
真菰と神事・お盆との関わりは、以下の記事で詳しく紹介しています。
真菰蒸しとよもぎ蒸しは、道具ややり方はほぼ共通です。いちばんの違いは「何を煮出すか」。
| 項目 | 真菰蒸し | よもぎ蒸し |
|---|---|---|
| 使う植物 | 真菰(イネ科) | よもぎ(キク科)※漢方ハーブをブレンドすることも |
| 使う部位 | 葉が中心。根を使うサロンも | 葉が中心 |
| 歴史 | 比較的新しい | 韓国の伝統的な温浴法として知られる |
| 香り | 青々とした、稲わらに近い香り | よもぎ特有の強い香り |
| 植物アレルギーで気をつけたい方 | イネ科植物にアレルギーがある方 | キク科植物にアレルギーがある方 |
真菰蒸しを紹介するサロンのページでは、「真菰にはケイ素が多く、よもぎの約270倍」といった説明をよく見かけます。
ただ、この数字の出どころとなる分析データ(どの部位を、どんな方法で測ったのか)は、私たちが調べた範囲では確認できませんでした。また、蒸気を浴びることで植物の成分がどれだけ体に取り込まれるのかも、はっきりとはわかっていません。
「数字が大きいから良い」というよりも、真菰の香りに包まれて、ゆっくり体を温める時間そのものを楽しんでいただくのがいちばんだと考えています。
サロンによって細かな違いはありますが、一般的には次のような流れです。
施術中は、汗をたっぷりかく方もいれば、ほとんど汗が出ない方もいます。サロンの方々も「体感は人それぞれ」と話していることが多いですね。
真菰蒸しは、道具をそろえれば自宅でも行えます。
初めての方は短めの時間から始め、体の様子を見ながら調整してください。
真菰蒸しは「気持ちいい」と感じる方が多い一方で、熱い蒸気を下半身に当てる以上、気をつけたいこともあります。
いちばん注意したいのがやけどです。熱いのを我慢したり、同じ場所に長時間蒸気が当たり続けたりすると、デリケートゾーンや太ももに低温やけどを起こすことがあります。
サロンや家庭用セットの説明では、次のような方は控えるよう案内されていることが一般的です。
持病がある方や通院中の方は、事前にかかりつけの医師に相談してください。
海外では、膣に蒸気を当てる温浴法(Vスチーミング)について、医療関係者から「科学的根拠がない」「必要性に疑問がある」という声も上がっています。膣内にはもともと自らを守るしくみがあり、「蒸して浄化する」必要はないという考え方です。
真菰蒸しは、病気を治すためのものではなく、体を温めてくつろぐための時間。そうした位置づけで、無理なく取り入れていただきたいと考えています。
真菰蒸しは、煮出した真菰の蒸気を直接肌に当てるもの。だからこそ、どんな環境で育った真菰かは気にしていただきたいポイントです。
真菰は田んぼや水辺で育つ植物です。栽培中に農薬が使われていないか、販売者に確認できると安心です。
乾燥が不十分だと、保管中にカビが生えることがあります。色が極端に黒ずんでいるもの、湿った匂いがするものは避けましょう。
「どこで、誰が育てたか」がわかる真菰なら、気になることを直接問い合わせることもできます。
どちらが優れているというより、香りや好みで選んでよいと思います。よもぎの香りが苦手な方や、キク科の植物にアレルギーがある方が真菰蒸しを選ぶこともあるようです。ただしイネ科植物にアレルギーがある方は、真菰蒸しは控えてください。
男性も受けられるサロンがあります。ただし体のつくりの違いから熱さを感じやすいとも言われるので、座り方や温度に一層注意してください。女性専用のサロンもあるので、予約前に確認しましょう。
決まった基準はなく、サロンによって「月2回」「1か月に1回程度」などすすめる頻度はさまざまです。体調と相談しながら、無理のないペースで取り入れてください。
真菰風呂は、真菰をお湯に浸して入浴する方法です。全身を湯に浸けるか、蒸気を浴びるかの違いですね。同じ乾燥真菰を、お風呂と蒸し用の両方に使う方もいます。
真菰蒸しで汗をかいたあとの水分補給に、真菰茶を飲む方もいます。真菰茶については別の記事で詳しく紹介しています。
真菰は、古くから人の暮らしや祈りのそばにあった植物です。真菰蒸しという新しい形でその香りにふれる時間が、心と体をゆるめるきっかけになればうれしいです。